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TW4、サイキックハーツの杜羽子・殊(d03083)のキャラブログ。仮プレだったりSSだったり。SSは少し暗め。分からない人はカムバック推奨。コメントはお気軽にどうぞ。 世界を捨てた少女は、何の夢を見るか? パス付きは殊が書きなぐったもの。数字4文字。どうしても気になる人はお手紙でどうぞ。
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殊が世界を捨て、灼滅者となった日。


「神様なんていない」
沈んでいく太陽を眺めながら、少女は淡々とした口調で呟いた。
「だから、悪魔だってきっといない」
橙から赤へ、赤から紫へ、紫から紺へ、変わりゆく空の色に呼応して、金とも銀ともつかぬ彼女の長い髪は染める色を変えていく。平均よりやや低めの背丈に、折れそうな肢体。年端のいかぬ幼さを残しながら、少女の纏う空気は妙に落ち着いていた。
「救いなんてない。でも、絶望もない」
簡素なワンピースをところどころ朱に染めて、小さな手には小ぶりなナイフをしっかりと握って、少女は夕焼けを見ながら、年齢に不似合いな程の落ち着いた口調で言った。
その大きな瞳から一筋涙が流れる。静かに頬を伝い、顎へと流れ落ちる。
「……恨んでいますか? 私を」
その問いに少女はゆっくりとこちらを向いた。
涙を一杯にためながら真っ直ぐに見返した瞳は、深い紫。赤よりとも青よりとも言えない、どちらにも取れない曖昧な色だった。
「恨んで無いといえば、嘘だ」
少女は思いの外はっきりと否定を示した。
「ボクは今までで十分幸せと言えたし、その生活を壊したのは貴方だ」
「ええ、知っています」
「ボクにとってはダークネスと人なんて変わらない。ましてやダークネスとスレイヤーなんて同じ」
「ええ」
「本当だったら、ボクはいま持っているこれで、貴方を刺し殺したい」
「どうぞご自由に。抵抗はしますがね」
おどけたように両腕を広げて笑うと、少女は始めて微笑んで、今度は小さく首を横に振る。
「やらないよ。だって貴方は僕の味方だろ?」
「味方なら恨んでいても許せるんですか?」
「許しはしない。でも貴方が示した場所がボクのいるべき場所であって、ボクを受け入れてくれる場所なら、ボクは行くよ」
少女は笑みを深くして、よろしく、と手を差し伸べる。その手を握り返しながら、驚きを隠せずに彼は問うた。
「なぜ……味方だからと、割り切れるのです」
「聞くまでも無い」
不意に少女は真顔に戻る。
「一人はさみしいんだ」
彼に少女の真意は読み取れない。しかし、その紫の目の奥には、必死さがあるように見えた。
「いいんですか。戦う事になるかもしれないんですよ」
「生きるための戦いだろ?」
少女は無邪気に笑って、答えた。
「そんなの、人間相手に生きる時からやっている」

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プロフィール
HN:
杜羽子・殊
性別:
非公開
自己紹介:
ダンピール×魔法使い。10歳。
幼い容姿とは裏腹に、大人びた少女。基本好奇心旺盛、時により年相応に無邪気。が、過去は結構デンジャラスだったりする。
自分の唯一の世界だった人を捨て、武蔵坂学園へと来る。
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